2014年度貸金業が担う資金供給機能等の現状と動向に関する調査結果報告に関する考察(貸金業者)

このページでは日本貸金業協会が2015年3月27日に公表した、「貸金業が担う資金供給機能等の現状と動向に関する調査」に関する報告について紹介しています。

データについては(貸金業が担う資金供給機能等の現状と動向に関する調査結果報告)から引用しています。

調査結果の概要
  • 貸金業者の貸付状況
  • 貸金業者の経営状況・課題
  • 貸金業者の今後の見通し
  • 利息返還請求の実態

貸金業者の貸付状況

  • 貸金業者に、直近で改正貸金業法公布時における貸付実施状況について調査したところ、消費者向け無担保貸付を行っていると回答した割合は全体の59.5%、専業主婦向け貸付では6.8%、事業者向け無担保貸付は39.9%となっている。
  • 貸付を実施していない理由については、消費者向け無担保貸付では「申込がほとんどないから(資金需要が見込めない)」が20.6%、専業主婦向け貸付では「総量規制による影響」が27.8%、事業者向け無担保貸付では、「申込がほとんどないから(資金需要が見込めない)」が26.2%と、それぞれ最も高い結果となった。
  • 消費者向け貸付における年収別の内訳を見ると、「300万円未満」を占める割合が36.1%と最も高く、次いで、「300万円以上〜500万円未満」が31.8%、「500万円以上〜1,000真万円未満」が22.0%だった。
  • 事業者向け貸付における資金使途別の内訳を見ると、個人事業主、小規模企業、中規模企業以上でそれぞれ「事業の一時的な運転資金(つなぎ資金)」が23.0%、16.8%、2.4%、「事業の経常的な運転資金」が57.4%、61.9%、82.5%、「設備投資資金」が4.6%、8.0%、2.0%となった

貸金業者の貸付状況の考察

改正貸金業法施行後の貸金業者の貸付状況を見ると、大きく変わったのは、「専業主婦向け貸付」の割合です。

総量規制の影響で、貸金業者は、専業主婦に無担保で貸付することができないようになりました。総量規制の例外貸付として、配偶者と合わせた年収の3分の1までの金額で貸付することは可能なのですが、その方法で専業主婦が借入するということは、旦那名義で借入することと同意になるので、現在はほとんどの消費者金融は専業主婦の方の借入申込を受け付けていません。

専業主婦の方で借入を希望している方は、「専業主婦がカードローンを申込する前に知っておきたい基礎知識」というページで、専業主婦の方が借入する方法を紹介しています。

また、事業者向け貸付においては、貸金業者は積極的には行っておらず、39.9%と低い数値となっています。

これは、事業者への貸付の審査は消費者向け無担保貸付よりも専門的な審査ノウハウを求められるためという要因もありますが、事業者向けローンを行っているビジネクストや、オリックスクラブカードに関しては、事業者専門のローン商品を扱っているため、審査ノウハウも豊富で、事業者から人気があるカードローンです。

資金使途は、個人事業主も、小規模企業も、中規模企業もさほど違いは無いですが、個人事業主の方は、つなぎ資金として利用することが多い傾向があり、中規模以上の企業になると、経常的な運転資金としての利用がほとんどとなっています。

貸金業者の経営状況・課題

  • 貸金業者の経営状況を確認したところ、直近3期の期末時点における営業貸付金利息が常に営業費用を下回っていて、依然として貸金業者の収支構造は赤字体質が続いている
  • 貸金業者の最重要課題は「コンプライアンスの徹底」と回答した割合が82.0%と最も高く、次いで「改正貸金業法への的確な対応」が77.8%、「収益力の強化」が40.4%となっている。
  • 貸金業者の事業規模別に見ると、法人事業主(資本金5億円以上)、法人事業主(資本金5億円未満)では、「コンプライアンスの徹底」と回答した割合に差があり、それぉれ90.1%、81.4%となっている。一方で、個人事業主の場合では、「改正貸金業法への的確な対応」が最も高く85.2%となった。

貸金業者の経営状況・課題の考察

貸金業者の経営状況は、総量規制以降大きく悪化しており、赤字体質が続いているようです。

一方で、アコムやプロミスなどの大手消費者金融は、大きく売上を伸ばしていて、借入を希望している方が大手に集中している傾向があります。

一般的に、貸金業者は、業績がいい時は積極的に貸付を行いますが、悪い時には、貸し倒れのリスクを懸念して、貸付が慎重になる傾向があるため、借入を検討している方は、業績が良い消費者金融を利用するようにしましょう。

また、事業規模に関係なく、「コンプライアンスの徹底」を重要視している業者が多いということはいい傾向で、特に大手では、無理な取り立てなどは一切ないため、安心して借入することがでるようになっています。

貸金業者の今後の見通し

  • 貸金業の今後の見通しについてのアンケートでは、「現状維持」と回答した割合が65.2%と最も高く「事業縮小」が16.7%、「事業拡大」が13.8%となった
  • 貸金業者の事業規模別に見ると、「事業拡大」と回答した割合は、法人事業主(資本金5億円以上)、法人事業主(資本金5億円未満)、個人事業主でそれぞれ、26.6%、12.2%、8.1%と、規模が大きい程事業拡大を目指している傾向があった。一方で、「事業縮小」と回答した割合は、それぞれ10.1%、16.3%、25.7%だった
  • 事業を継続する上での課題については、「収益性」と回答した割合が60.2%と高く、「集客や顧客のサービスを継続できない」が18.3%、「利息返還請求」が17.8%と続いている。
  • 貸金業者の事業規模別に見ると、「収益性」と回答した割合は、法人事業主(資本金5億円以上)、法人事業主(資本金5億円未満)、個人事業主でそれぞれ22.2%、57.4%、80.4%と、小規模になるほど収益性を重視する傾向が高いということがわかった

貸金業者の今後の見通し

貸金業者の今後の見通しに関して、小規模事業者は中々事業拡大に踏み切れないという傾向があるということがわかりました。

貸金業者は利息商売なので、初めにお金を貸付する必要があり、極めてキャッシュフローの悪い事業です。そのため、小規模で、現金を潤沢に持っていない企業や、個人事業主の方などは、まず集客ですることが難しい上、優良顧客はほとんど大手に取られてしまうため、どうしても苦戦を強いられてしまいます。

その結果、事業を縮小していく事業者が多くなっているというのが現状でしょう。今後も大手と中小の売上の二極化が進み、小希望事業者は淘汰されていく傾向は続くと思います。

利息返還請求の実態

  • 2013年度の利息返還金と元本毀損額の合計は3,969億円、最高裁判所判決後8年の利息返還金と元本毀損額の合計は5.8兆円となり、2013年度の期末利息返還引当金残高0.8兆円を加えると、利息返還請求関連費用は6.6兆円となっている。
  • 利息返還請求時の債務者区分を見ると、「完済・残高なしの先」が47.1%と最も高く、3年以上上昇傾向にある。一方で「正常返済先」では29.3%、「延滞先」では23.6%と、3年間下降傾向にある。

利息返還請求の実態の考察

利息返還請求の実態について見てみると、2013年度の利息返還請求時の債務者区分を見ると、「完済・残高なしの先」が47.1%と最も高くなっているという点が気になります。

これは、現在債務に苦しんでいる方の救済ではなく、すでに完済して、普通に生活している人が、司法書士・弁護士に手続きするだけで、簡単に過去に払った過払い分も取り返せるということです。

今でも気づかないうちに過払いしていたという方は数多くいるようで、司法書士事務所などは積極的に宣伝していますが、結果的にこの利息返還請求が、貸金業者の経営状況を大きく悪化させ、現在本当にお金が必要な人にお金が回らないという現象が起きています。

上記でも紹介した通り、現在貸金業者は慢性的な赤字体質になっていて、貸付には慎重になってしまっています。この原因となっているのが、利息返還請求で、半数以上が完済している方からの請求だと、本来の目的である債務者の救済措置から大きく逸脱していると言えます。

今後もこの利息返還請求は続いて行くのでしょうが、貸金業者が音を上げる前に、見直しが必要なのではないかと思います。